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相模国の『大山』は博打と商売にご利益があるため、大勢の江戸っ子たちが参詣に押しかける。
その年もお参りに行く事になり、大家さんに先達 (世話役) を頼もうとするが断られてしまう。メンバーの一人である熊五郎が、毎年酒に酔っては喧嘩をするから嫌気が差したというのがその理由だ。
それを拝み倒して、一同は大山詣りに出発。メンバーの一人が妙案を思いついた。
「腹を立てたら二分払う。もし喧嘩をしたら、みんなで丸坊主にする」と。
行きは何事もなく御参りを済ませて帰り道、東海道は神奈川宿の宿屋で、熊が大酒を食らった挙句、風呂場で大立ち回り。
殴られた奴が『二分出すから、熊五郎を坊主にしてやる!!』と息巻くのを、先達が止めて、その場は収まったが、殴られた方にすればそれで諦めきれる訳がない。
みんなが寝静まったところで、数人が、剃刀片手に熊五郎の部屋へ忍び込んでいって熊を丸坊主に。
朝飯の後、一行は熊を残して神奈川宿を発ってしまった。
それから数刻たって…熊が目を覚ました。頭をなぜて…唖然。
熊は駕籠を仕立てて、先に出立した長屋の連中を追い抜いて一路江戸へ。
長屋のかみさん連中を集めると、
「みんなの亭主は舟と一緒に沈んで、自分だけが生き残った。せめて知らさなければと思って、帰ってきた」と嘘をつく。
大家のかみさんが疑いだしたので、これが証拠と坊主頭を披露。
信じ込んだ一人のかみさんが「自分も出家したい」と言い出したのを皮切りに、長屋の女どもを一人残らず丸坊主にしてしまった。
帰ってみると、「忌中」の札が張ってあるし念仏まで聞こえてくる。
かみさんたちと会えば「幽霊だ!」と騒ぎ出すし、よく見たら全員坊主頭だ。
熊の意趣返しと、怒り心頭の一同に先達が「これはめでたい事だ」と宥める。
「どこがめでたいんだ?」
「お山は晴天、家へ帰ればみんなが坊主、お毛が (怪我) なくっておめでたい」 |
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